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- 糖尿病にも良い果物の食べ方が実はあるのです!

果物は一般的には「体にいい」イメージがありますが、一方で糖尿病の方には果物はダメ!ということも聞いたことがあるかと思います。
では糖尿病の患者さんは、果物とどうやって付き合っていけばよいのでしょうか。
【果物に含まれる栄養素の真実】
果物は食物繊維、ビタミン、ミネラル、ビタミンCなどを栄養素として含んでいます。
「体にいい」イメージがあるので、50代ぐらいになり健康意識が高まってくると果物を積極的に食べ人が増えてきます。
しかしここに落とし穴があります。
実は糖尿病、あるいは糖尿病予備軍が増えてくるのも50代の方々なので、健康によさそうだからといってやみくもに果物を取りすぎると、糖尿病の悪化に繋がるのです。 文追加そして、糖尿病の悪化に繋がるのは、果物に含まれる糖質です。
【果物に含まれる糖質とは?】
果物に含まれる糖類には単糖類(ブドウ糖、果糖、ガラクトース)と二糖類(砂糖、乳糖、麦芽糖)があります。
単糖類の果糖が実は最も甘みが強くこれはハチミツなどにも含まれています。果糖は血糖値を上げにくいのですが、、、、脂肪になりやすいという性質があります。研究によって果糖をたくさん摂取すると糖尿病になったり、肥満になりやすいこともわかっています(Schulze MB,et al.:JAMA.292:927-934,2004)
果糖が肝臓で脂肪の合成を促進させてしまう結果中性脂肪が増え、インスリン抵抗性が上昇してしまいます。インスリン抵抗性が上昇するということは簡潔に説明すると「糖尿病の治療がしづらくなる、、、=糖尿病が悪化しやすい」ということです。研究では果糖飲料のほうがブドウ糖飲料より糖尿病が悪化しやすいという結果も出ています。
では、具合例をみていきましょう。
【果物に含まれる糖質の種類】
果物に含まれる糖質には果糖、砂糖、ブドウ糖があります。
代表的な果物に含まれる糖質は以下のとおりです。
バナナ、ミカン、モモ→砂糖
梅、キウイ→ブドウ糖
ナシ、リンゴ→果糖
ブドウは果糖とブドウ糖が同じぐらい含まれており、一方イチゴ、スイカには糖分は少ないです。この中で一番炭水化物が含まれているのはバナナです。
このように果物は糖質がたくさん含まれています。
では基本食べないほうがいいのか?、というとそうではありません。
ハーバード公衆衛生大学院の疫学調査では「ブルーベリーを毎日200g食べる人」は糖尿病のリスクが23%低下するという結果報告が出ました。また同時研究で「ブドウを毎日500g以上食べる人」はリスクが19%低下、毎日500gのリンゴ、洋ナシでは糖尿病のリスクが17%低下する、ということもわかっています。浜松大学と農研機構果樹研究所の共同研究では毎日温州みかんを3個ほど食べる人は糖尿病のリスクが57%低下するといった研究報告もなされています。
なぜ果物が糖尿病を悪化すると言う報告がある中、全く逆の糖尿病が良くなるという報告もあるのでしょうか?
それは、「果物の食べ方に違いがある」と言われています。
【果物の正しい食べ方とは?】
WHO(世界保健機関)、FAO(国際連合食糧農業機関)では生の果物や野菜を一日に400g以上を摂取することを推奨しています。日本人の成人の果物の摂取量は一日平均100グラム。一日200グラムを目安に果物を食べると、糖尿病の発症リスクも軽減されることが期待できます。ただしこれは糖尿病でない方です。
糖尿病の方は果物は空腹状態で食べると血糖値が上がりにくいので、果物は食事の最初に食べるのがおすすめです。摂取量としては一日100gが最善であると考えます。食後に果物を食べると血糖値が著しく上昇してしまいます。食後血糖値の上昇を抑えるに食べる順番が重要で、果物は食事の最初に食べることです。
最後に果物100gって?という方のために目安をお示ししておきます。
ミカン:1個、リンゴ・洋ナシ:2分の1個、ブドウ:2分の1房、カキ、モモ:1個 です。
果物はおいしいですが、食べ過ぎは要注意です、果物を上手に食べて、食べ過ぎず、かつ無理に我慢せずに、付き合うようにしましょう。
あなたにとって、よい糖尿病ライフを!
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