医者 怒る

「怒る医者」

これを聞いてみなさんが思うことは何ですか?

「先生は私のためを思って心を鬼にして言ってくれてるんだよな」「治療がうまくいかず、ちょっといらいらしてるのかな」「毎月、毎月採血されて、結果が悪くなってないかどきどき。また怒られるかな、いやだな~」「奥様とケンカした~?!」

最後のひとつは冗談です。すみません(笑)。でも実際始めの3つはどれも現実ですし、現場ではよく見ます。色々な考え方の医者がいますし、色々な言い方をする医者がいます。我々は科学者なので本来科学的に正しいことに沿って淡々と治療をしていきたいとは皆思っていますが現実はなかなかうまくいきません。そしてそこに感情が関わってくることもあります。

パターナリズムという言葉があります。指導的立場にある者が指導される立場の者の意志に反して、指導される側の利益になるという理由から、その行動に介入したり、干渉したりすることです。日本語では家父長主義、父権主義などと訳されます。医療現場においては、「医者と患者の権力関係」がパターナリズムであると、1970年代初頭に医療社会学者のエリオット・フリードソンによって指摘されました。著書の『医療と専門家支配』では、専門職が社会的支配力をいかに獲得し、クライアントに影響を及ぼしてきたかなどが言及されている。この医療現場におけるパターナリズムは「医療父権主義」「医療パターナリズム」と呼ばれます。

しかしこのパターナリズムが医療の現場で起こることは決してあってはならないと私は考えます。パターナリズムと相反するものとして、医療現場ではインフォームド・コンセントと呼ばれる原則があります。これは患者さんが医師から医療方針について十分な説明を受け、納得した上で、患者自らが治療や処置を受け入れる決定を下す、ということです。
パターナリズムの「患者さんのためになる」という医師による判断での処置は、患者さんの同意を得ていません。これはインフォームド・コンセントに反します。

医者 怒る

それでも今医療の現場では少なからず、あるいは「ゆるいパターナリズム」がまだ見られます。しかし考えてみて下さい。特に糖尿病や高血圧のような慢性疾患、つまり生活習慣病で通院されている方々にとってこの「パターナリズム」というのはストレス以外のなにものでもないと思います。「私のためを思って」いるならば、なおさら医者は患者さんのストレスをなくし、ハッピーになってもらわなくてはなりません。

私は以前患者さんにこう言われました。「前の病院の医者に比べたら先生は全然怒らないですね」と。それに対して「どうですか?」と聞いたら「嬉しいです。そして病院来るのが楽になりました」。これこそが患者さんの幸せだと思います。そして同時にそうやって笑顔で来てもらい、治療にやる気をともなって来てもらえば我々医者もハッピーです。

「怒る」ことで、患者さんが病院を離れて他の医者に行くこともこれは患者さんの利益を失うことになります。つまり本来我々は糖尿病専門医として正しい治療をおこなっている、あるいはおこないたいにも関わらず、患者さんに「怒る」ことで、信頼関係を失い、結果他の医者に行くかもしれません。医学的には正しくないにも関わらず自分の希望をなんでも聞いてくれて、「怒らない」医者に行く方もいるでしょう。これが患者さんの利益の喪失です。これでは患者さんを良くしたいと思っていても叶いません!

怒るのではなく、説明し、よく話し合い、納得してもらう。そして楽しく笑顔でお互い診察室で向き合えるそんな関係が一番素敵ですね。


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