ドクターズファイル 2012年に取材されたものです

どこか懐かしい雰囲気が漂う武蔵小山商店街。そのアーケードの一角に「和光医院」はある。26年にわたり、地域住民の健康をサポートし、小さなお子さんから高齢者まで幅広い患者からゆるぎない信頼を受けている。「院内にはお子さんの緊張をほぐすためキャラクターグッズを飾り、注射を我慢できたら、ご褒美のおもちゃを用意しています!」と、笑顔で語る林北辰(はやしほくしん)副院長。大学病院などで10年以上の経験を積み、2012年4月より父の開業するこの医院へやってきた。院長である父とタッグを組み、患者最優先の治療をめざしている。これまでの経験や今後の目標、さらに医療への思いをお伺いした。
(取材日2012年7月2日)

父が日本で築いた信頼を引き継ぐ

―開業されたのはいつですか?


1986年に父が開業しました。患者さんを広く診たいと住宅地を探し、日本有数の商店街であるここを選びました。もともとのルーツは、祖父が台湾で1949年に「和光医院」を開業したこと。実は、病院の名前も「和気生光」という中国の古い言葉に由来しています。「気を和やかにして光を生む」という意味です。我々の本名は林ですが「和光先生」と患者さんから呼ばれることも多いです。父は台湾で医師免許を取得し、その翌年には日本の医師免許も取得して東京医科大学第2内科に入局しました。ですから、開業当時は日本語もまだそれほど流暢ではありませんでした。それでも26年間、この地域の方に信頼される病院を続けているのは、息子ながらすごいと尊敬しています。自分に置き換えて考えてみても、風邪で病院に行って、日本人ではない医師が出て来たら、やはり若干不安になりますよ。次にまた行くかどうか悩むはずです。それでも患者さんが増えてきたのは、言葉を越えた父の医師としての技術力や優しい人柄が支持されたからでしょう。患者さんに対する姿勢は父を見習っていきたいです。

―いつこちらの病院にいらしたのですか?


今年の3月なので、まだ4ヵ月目です。父が築いてきたこの医院を、いつか引き継ぐのが自分の使命だと思っていました。ですが、医師になって、2、3年目でやってきても使い物になりません。開業医になるには当然、総合的に何でも診るための経験は必要でした。加えて、これに関しては誰にも負けないという専門性を身に付けたいと、大学病院に所属しました。その後、一般病院も4件程勤務し、糖尿病専門医の資格を取得して、ようやく自信を持ってやってきました。内科・小児科の中でも、父は循環器が専門ですが、私は専門性を活かし糖尿病外来をスタートさせました。今、4人に1人は糖尿病という時代で、予備軍も多いです。健康診断でちょっとでも高い数値が出たり、ご家族に糖尿病の方がいらっしゃったりする場合には、見た目は太っていなくても、リスクはないかを細かく診ています。食生活の改善指導も積極的に進め、今後、糖尿病の患者さんが増えてくれば、栄養士に加わってもらう方針です。まだ、始まったばかりですが、ホームページを見てくださったり、隣の駅の内科の先生から「あそこには糖尿病専門医がいるから」と紹介を受けたりして来院される方もいらして、手応えを感じています。

患者を待たせない効率的で質の高い医療をめざす

―病院の特徴を教えてください。


とにかく患者さんをお待たせしないことがモットーです。患者さんは、来院して、診てもらったら、すぐに薬をもらって、早く帰って療養したいのが基本でしょう。父だけのときはだいぶ待ち時間もありましたが、今は2人体制になり、来院されて待合室で雑誌を手にとって、目次を見る頃には名前を呼ばれるペースです。また、慢性疾患の患者さんは、薬を受け取るだけでなく、「先生に診てもらって、血圧も測って帰りたい、けれど待つのは……」と、諦めるようなケースにも対応できるようになりました。薬も院内処方なので、正確かつ迅速にお渡しできるよう工夫しています。また、薬も検査も必要なものだけにするという無駄のない治療方針は、親子で一致しています。しっかり診ますが、無駄なコストや時間は削減です。会社を抜けて来院される方も予約を入れていただければ、15分もあれば診療して薬を渡せますので「帰社時間が読めるので助かる」と喜ばれています。さらに当院では、糖尿病に関して大学病院と同じレベルの治療ができるのも特徴の一つです。大学病院では1日かかる外来を、短時間で済ませることが可能です。

―この地域の特性はありますか?


お子さんから高齢者までバラエティ豊かな患者さんがお見えになります。若い方も多く、偏りはありません。予防接種や健康診断の方もみえます。外来は1日80人くらいです。先日、院長と一緒に出勤途中に若い女性に「先生!」と呼びとめられました。私は「先生」と言えば父のことなので、振り向かなかった。すると肩を叩かれて「この前はお世話になりました。風邪がすっかり良くなって、これから出勤するところです」と笑顔で言われました。街中で声をかけてもらえるなんて、すごくうれしかったですね。ですが、顔を知られることは、それだけ責任感も重くなるということ。ちゃんとやらなきゃと気持ちが引き締まりました。日々のなかで患者さんからダイレクトに反応があるのは、やりがいでもあり、厳しさでもあると感じています

患者最優先でベストを尽くす

―医師を目指されたきっかけは?


私が小学3年生のときに父は開業しました。病院に来て、宿題をやったり、遊んだりしていると、患者さんが父に対して「ありがとうございます」と言っているシーンを度々目にしました。小学校の卒業文集に「将来、人の役に立てる医師になりたい」と書いていたのです!全然覚えてないけれど(笑)。人に感謝されるのはいい仕事だと感じたのでしょうね。医師をめざした学生時代は、外科がかっこいいと思っていましたが、いろいろ学んでいくうちに、病気になってからの医療より、どれだけ予防対応ができるかを考えようになりました。また、父の病院には、膝が痛い、目が痛い、皮膚に湿疹が出たと、あらゆる患者さんが来ていたのを見ていましたから、幅広く診るには内科が一番いいと思いました。

 

―大学病院との違いを感じていますか?


最先端医療も面白かったんですが、大学では効率を優先しなきゃいけない部分もありました。今は、目の前にいる患者さんとしっかり向き合い、治していく責任が重いです。ここに来てからは、家に帰っても「あの症状はなんだったのか?」「あの子は、あれから吐き気は止まったかな?」と考えるようになりました。以前はパッと切り替えるタイプだったのですが、患者さんをなんだか身内のように感じています。だからこそ、治療して元気になった姿を見ると、うれしいし、ありがたいと思います。開業医は、患者さんの中に隠れている病気を、いち早く見つけ出すことが重要なので、緊迫感もあります。この患者さんは様子をみていいのか、あるいは早めに大きな病院で検査したほうがいいのか、そこを見極めるのは神経を遣いますね。開業医レベルで診られないものは、すぐに連携先病院へ送る。大学病院にいたからこそ、それぞれがどこまで診られるかの判断がしやすいです。私は小児科も診ますが、ある領域になると専門医でなければ判断できない複雑な症例がありますので、そういうときは迷わず、患者さんにとって最適な方法を選ぶようにしています。

 

―休日はどう過ごされていますか?

2歳になる娘とひたすら遊んでいます。週1回は父も加わって家族みんなで食事をします。私は子どもの頃はまじめでしっかり勉強はするタイプでしたが、大学からアメフト部に入り体育会系に変身。あくまで趣味ですが、実は総合格闘技も7年やっています(笑)。健康のためには、週3回は駅前のジムに通い、野菜も日頃から意識してたっぷりとっています。今後、もう少し体重もしぼって、患者さんの見本になれるように頑張りたいです。どうぞご期待ください!

―治療に関してはお父さまと相談されていますか?

しています。2人でやっているので治療方針を合わせないと、患者さんの混乱につながります。薬が必要なのか、様子を見るべきかなど、普段から話し合っています。医師は職人なので、一人ひとりの意見があり、個性も強いです。家族だから言いやすこともありますが、院内では医師同士。対等に意見をぶつけます。でも、感情的なけんかはしたことはないです。今は父への信頼で患者さんに来ていただいているのですが、私に診てもらいたいという方が増えてくるように、自分のペースで成果を積み上げていきたいです。長年の信頼に勝つのは難しいですが……。

 


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